気持ちを、大きくしなくても。

「本当に、本当にありがとう」。うれしさを伝えたいとき、つい言葉を重ねたくなる。けれど、強い言葉を探すよりも、その人がしてくれたことを一つ思い出してみる。

残っている場面を、ひとつ。

「帰り際に声をかけてくれて、ほっとした」。何をしてもらったか。そのとき自分に何が起きたか。具体的な場面が入ると、お礼はその人に向けた言葉になる。たくさんの人に同じように渡せる文章から、二人のあいだにあった時間へ戻っていく。

あとからでも、言葉にできる。

その場で言えなかったお礼もある。帰り道や次の日になって、ようやく言葉が見つかることもある。「いまさらかな」と思うなら、「あとになって思い出したんだけど」と始めてみる。返事を求めず、残っていた気持ちだけを渡してもいい。

今日の小さな一文

「あのときのひと言で、少し安心できました」。立派にまとめようとせず、自分に起きたことを一つ。言葉を贈る練習は、そんな小さなところから始められる。

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日常の会話から、言葉の力を育てる。

会話例は説明のための架空例です。書籍の引用・著者の実体験ではありません。

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